遠心力とは?
バケツの水をさかさまにすると、普通は全部こぼれてしまいます。しかし、これを左図の様に勢いよく振り回すと、中の水は落ちてきません。バケツを振り回すと、ここに遠心力という力が生まれます。この遠心力という力は、外に向かって働く力の事です。バケツを勢いよく振り回すと、重力よりも大きい遠心力が働きます。その為に、水はこぼれ落ちること事無く、1回転してしまうという
訳です。
遠心分離とは?
遠心分離とは、自然に分離する事が難しい場合や、時間が掛かる場合に、遠心力を使って、短時間で分離させる事を言います。
遠心分離には、2種類の方法があります。
遠心沈降方式 ⇒ 遠心力を使って、強制的に沈降させる方法。例えば、ドレッシングを置いておくと、時間が経てば、上部の層と下部の層に分かれます。
遠心ろ過方式 ⇒ 遠心力を使って、強制的にろ過させる方法。例えば、コーヒーを作る時に、ろ紙を使い、コーヒー豆の粉が液に入らないようにします。
*注 :完全に溶け込んでいる場合は、分離が出来ません。
使用目的
使用分野 | 対象物 |
医薬品 | 血液製剤、医薬中間品、医薬原薬、漢方薬、アミノ酸、乳酸菌、ワクチン、ビタミン剤、抗生物質、栄養ドリンク、微生物回収など |
食品 | お酒(酵母菌回収、日本酒)、健康食品製造、糖蜜、香料、調味料、各種エキス系、動植物油、魚油、タウリン、食品添加物、砂糖、塩、果物、クエン酸、スープ、ワイン、醤油、食品用色素など |
大学・研究所 | 各種研究実験に使用する為 |
化学 | 塗料(粒子径均一化)、顔料、各種溶剤、各種樹脂材、金属粉、ガラス、製紙、電子材料、ファインケミカル系など。 |
リサイクル | 廃油系、排水系など |
その他 | 多種多様 |
医薬品での使用例
廃油の再利用
例)食用油
揚げ物を揚げるのに使用した油。通常であれば、何回か使用した後、廃棄致します。理由は、油の中に、カスや不純物が混入し、油の品質を低下させるからです。その油を遠心分離させ、カスや不純物を取り除くと、再利用が可能になります。(その他工場などから出る廃油を再精製し、再利用)
⇒新油を使用する回数を抑え、コスト削減となります。
菌体の回収
タンク内で菌体を培養します。培養後、菌体のみを回収する為、遠心分離し、菌体を回収します。
⇒菌体が回収出来る事により、菌を活用して、様々な製品に役立てれます。
乳酸菌や酵母菌など、医薬品に限らず、食品などにも利用されています。
品質の向上
微細な不純物などが混入する事により、製品、又はその後の工程に悪影響を及ぼす為、遠心分離にて不純物を除去。
⇒製品の品質向上、後工程の負荷軽減。
対象物の脱水・脱油
対象物に付着している水分・油分・その他液分を遠心分離にて除去。(洗濯の脱水が同じ原理になります)
⇒水分・油分などの液分がなくなる事により、後工程の負荷が軽減される。(例:乾燥が早くなるなど)
以上、その他遠心分離機は多種多様に用いられております。一般的に、遠心分離機と聞くと、試験管を回す機械をイメージされます。弊社は、同じ原理を生産機として生産する為に機械を製造しております。
遠心分離イメージ
液1と液2は、比重の違う液となります。固形分が完全に溶け込んでいる場合は、分離が出来ません。